心はいつも、貴方とともに
公の場に出るときは常に鎧姿だった。



騎士なのだから、正装は武具一式を身に着けた姿が恒例だ。



しかし、今回は違う。



間違っても、武器を持っていくなど。



反逆とみなされでもしたら、お先真っ暗。



硬直したジークも自分と同じだと判断したラジャはため息をついて頭を掻いた。



「仕方ない。
ナラにでも頼むか。」



ナラはラジャの恋人だ。



もう付き合って何年にもなる。



ジークよりも長い付き合いらしい。



街のパン屋の娘なので、あまり頻繁には会えていないらしいが。



そのせいかジークは一度も彼女に会ったことがない。



「間に合うか?」



服を選んで、仕立て直し、配達までしていたら、結構な時間がかかる。



しかしラジャは不敵に笑った。



「ナラはな、器用なんだよ。
凄い女でさ、不可能を可能にする。」


「言ってろ。」



このままのろけに突入しそうだったので、ジークはラジャに飛び掛かった。



よっぽど好きなんだな。



「早く結婚すれば、一緒に住めるのに。」



そういうと、ラジャは顔を歪めた。



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