心はいつも、貴方とともに
隣でアミリアが顔を赤らめているなどとは露知らず、ジークはほかの案をしゃべり続ける。



アミリアも適当な相槌をはさみつつ、心を落ち着けていった。



「こうしてみると、行ってみたいところがたくさんあるな。」



ははっと笑うジークに、アミリアは微笑んだ。



「じゃあ、何回も抜け出さなくちゃね。」


「そうだな。
さすがにランバート様に怒られるな。」


「大丈夫よ、お兄様も一緒に抜け出せばいいのよ。」


「…ミア、自分が何を口走ったのか、わかってるのか。
城中大混乱だぞ。」



ジークは怖い顔をして見せるものの、目が笑っている。



なのでアミリアもふざけて混ぜ返した。



「大丈夫よ、お兄様が城中をふらついていなくなることは珍しくないし、姫がいないからといって騒ぐものもいないわ。」



いるさ、とジークは呆れ顔だ。



「君達はなんとも思ってないかもしれないけど、使用人たちにとっては大変なことなんだ。
あぁ、ダニエル様が可哀想になってきた…。」



そんなに沈痛な面持ちでうな垂れられると申し訳なくなる。



今さらながら、兄の放浪癖がもたらした使用人たちの心的苦痛の大きさを知った気がする。



ごめんなさいと謝るしかなかった。



「でもまぁ、それでもみんなついて行くんだから、それはランバート様が好かれてるってことなんだろうな。」



ジークはフォローすることを忘れない。



アミリアは曖昧に微笑んだ。



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