心はいつも、貴方とともに



今日も暗い部屋で朝食を摂る。



ただでさえ暗い気分になるのに、今日は余計な心配事も加わってさらに憂鬱だった。



マリアは心配そうに、アミリアを窺っている。



なんと言って、伝えようか。



台詞が頭の中を回り始める。



“実は私、三つ子だったの。”



それは普通か。



“下の二人は、亡くなったの。
一人は事故で、一人は生贄で。”



……少々惨いか。



でも、これが真実だ。



だらだらと考え事をしながら食べていたので、いつもの倍近く時間がかかってしまったらしい。



というのも、もうジークが部屋にやってきたからだ。



毎日扉の外で警護をしてくれているジークは、律儀に毎朝挨拶にくる。



もしかしたらただアミリアの顔を見たいだけなのかもしれないが。



「おはようございます。」



何も知らないジークはいつもの優しい笑みを、マリアとアミリアに向ける。



マリアがさっとアミリアを見た。



ゆっくりと、頷く。



一度さっと会釈したマリアは、侍女たちを連れて部屋から引いていった。



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