心はいつも、貴方とともに
「実は親父さんに反対されててな。
騎士なんていつ死ぬかわからない奴に娘をやれるかって。」


「…よくある話だな。」


「ああ。
でもって、一番やっかいだ。
俺は夢を捨てる気にもならないしな。
かといって、ナラを諦めることもできない。」



ラジャの場合、家柄は申し分ない。



むしろ、求婚者が後を絶たないくらいだ。



ラジャと結婚すれば、生活には困らず、働く必要もなくなるのに、それを許さないのだから、父親は本当に娘を愛しているのだろう。



「早く認めてもらえるといいな。」


「ああ。
でも、それは当分先だろうな。
俺じゃ、まだ若造で、階級も威張れるようなものじゃない。」



そうラジャは言うが、自分たちはこの年齢にしては驚異的な出世を果たしている。



「さ、もう俺達の持ち場は終わったし、さっさと行こう。」


「あぁ。」


「そういえばお前、ナラに会うのは初めてだな?」


「そうだな。
話を聞いているせいで、初対面の気がしない。
ずっと知っているような気がする。
不思議なもんだな。」


「ははっ。
ナラも同じこと言ってた。」



…奴は彼女に自分の何を話しているのだろう。



なんだか不安になってきた。



「おい、ラジャ。
お前、何を話した?」


「ん?
気にすんな。」


「待て、誤魔化すな。」


「はっは、まぁまぁ。」



結局、ラジャは口を割らなかった。
















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