心はいつも、貴方とともに
物音ひとつしない朝靄の中、アミリアはジークを待った。
ジークと初めて出逢ったあの噴水の淵に腰かけながら、じっと待った。
来てくれるだろうか。
お願いです、神様。
最後に一目だけ。
一目だけでいいの。
会いたいの、ジーク…。
ふと、一人分の足音が近づいてきた。
アミリアははっと顔を上げる。
期待通り、靄の向こうからジークが姿を現す。
無意識のうちに、腰が浮いた。
来てくれた…!
アミリアはぐっと唇を噛みしめる。
ありがとう、ジーク。
歩いてくるジークは無表情だ。
静かに近づき、そして間隔をあけてアミリアに対峙する。
しばらくぶりにも関わらず、ジークはどこも変わっていなかった。
「来てくれて、ありがとう。」
ジークは目礼しただけだった。
そこから言葉に詰まる。
何を言おう。
何から、話そう。