心はいつも、貴方とともに
この国に平和が戻ってから数年が経った。
隊長にまで上り詰めたジークは、久々に休暇をもらって里帰りをしていた。
あぁ、懐かしい。
ここはこんなだったっけか。
しばらく見ない間に、故郷の風景は少し変わっている。
ジークはふと思い立って、あの噴水の広場に向かった。
レンガ造りの壁の間を、小走りに駆け抜ける。
目の前に広がる景色は、アミリアと来たときのままだった。
眼下には広い広い街並みが広がっている。
あぁ、変わらないな。
目の前に、数年前の自分たちの幻影が映し出される。
顔を輝かせて、感動を身体一杯に表現しているアミリア。
胸がぎゅっと締め付けられた。
まだ、忘れられないでいる。
思い出として、仕舞えない自分がいる。
「ミア…。」
君は俺を覚えているのか?
…まだ愛してくれているか?
ついこの間、アミリアが男児を出産したという報せが入った。
母親に、なったんだな。
単純に、そう思った。