心はいつも、貴方とともに
ジークは端まで歩いていき、岸壁に作られた柵に手を置いた。
ここから一緒に景色を楽しんだのは、つい昨日のことのようだ。
でもそれはジークの勝手な記憶錯誤で。
どこからか、子ども達のはしゃぐ声が聞こえてくる。
それを聞いて、あぁこの国も平和になったんだなと頭の隅で考える。
この国を救った彼女は、ジークにとっては悠久の彼方だ。
どれだけ一人で物思いにふけっていたのだろう。
やがてジークはゆっくりと身体を起こし、眼下の景色に背を向けて歩き出した。
今から、育ての親のもとへ、昇進の挨拶にいくのだ。
隊長昇格が決まったときに既に手紙は出してあるが、直接会話は交わしていない。
『ご両親と、きちんと話をしてくださいね。』
真剣な瞳で言った彼女が思い出される。
その約束を守る意味もあり、ジークはやっと帰ることを決心したのだ。
久方ぶりに両親に会うのはやはりどこか気恥ずかしい。
前にアミリアと歩いた、家へと続くでこぼこ道を、今度はジーク一人で進む。
行ってくるよ、ミア。
ジークは心の中で愛しい女性に話しかけて、顔を上げた。
fin.
ここから一緒に景色を楽しんだのは、つい昨日のことのようだ。
でもそれはジークの勝手な記憶錯誤で。
どこからか、子ども達のはしゃぐ声が聞こえてくる。
それを聞いて、あぁこの国も平和になったんだなと頭の隅で考える。
この国を救った彼女は、ジークにとっては悠久の彼方だ。
どれだけ一人で物思いにふけっていたのだろう。
やがてジークはゆっくりと身体を起こし、眼下の景色に背を向けて歩き出した。
今から、育ての親のもとへ、昇進の挨拶にいくのだ。
隊長昇格が決まったときに既に手紙は出してあるが、直接会話は交わしていない。
『ご両親と、きちんと話をしてくださいね。』
真剣な瞳で言った彼女が思い出される。
その約束を守る意味もあり、ジークはやっと帰ることを決心したのだ。
久方ぶりに両親に会うのはやはりどこか気恥ずかしい。
前にアミリアと歩いた、家へと続くでこぼこ道を、今度はジーク一人で進む。
行ってくるよ、ミア。
ジークは心の中で愛しい女性に話しかけて、顔を上げた。
fin.