心はいつも、貴方とともに
大衆に気付かれないように小突き、すっと立ち直る。



背筋を伸ばして礼をすると、ひときわ大きく拍手が沸いた。



「大人気だな、アミリア姫?」



茶化すランバートを毅然と無視し、アミリアは指された椅子に腰を下ろした。



さぁ、今から長い誕生パーティーが始まる。



何人もの使者の祝いの挨拶を聞き、贈り物を受け取る。



退屈だとは思いながらも、主役なので力をぬくわけにはいかない。



アミリアは始終笑顔で答え続けた。



やがて、お決まりの行事が終わると、楽しい食事会に移行した。



人々は、楽しげに会話をし、手にグラスを持ち、歩き回っている。



アミリアも立ち上がり、ランバートのエスコートで歩き出す。



「長い間、よく耐えたな。」


「お兄様の比ではありませんもの、あれくらい我慢してみせます。」


「頼もしい。」



くすくすと笑ったランバートは、来客を否定しかねない言葉を咎めようとはしなかった。



「姫。」



声をかけられ、二人は立ち止る。



声の主は跪いて、アミリアにダンスの相手を申し込んだ。



誰、と困惑しているアミリアに、気を利かせて、ランバートがこっそりと教えてくれた。



「侯爵子息だよ。
一曲付き合ってやれ。」



そう言われては、仕方がない。



アミリアはそっと手を重ねた。







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