心はいつも、貴方とともに
人々はそんな二人に場所を開ける。



すぐさま、オーケストラが音楽を奏で始めた。



「姫、誕生日おめでとうございます。」


「ありがとうございます。」


「ますますお綺麗になられて。」



ここでもお決まりのご挨拶を繰り返した。



兄は毎度毎度、こんなことを繰り返してきたのだろうか。



これも仕事のうちなのだろうが、いい加減疲弊する。



そんなアミリアに気付かないようで、彼は延々と話を続ける。



相手が相手だけに無下に断るわけにもいかず、結局3曲も踊る羽目になってしまった。



しかし、その次もまた違う男性にダンスを申し込まれる。



そんなことが何度も続き、逃れることはできないのだと、とうとう諦めた。



みんながみんな、結婚を望んでいるようで、端々にそういうことを挟んでくる。



今はまだ結婚だなんて考えたくもないアミリアは、適当な相槌を打つことすら不快だった。



そろそろ疲れた、という言い訳が通用しそうだと目論んで逃げ出したが、一人になった姫を放っておくはずがない。



方々から男が寄ってくるのを見て、アミリアは絶望的な気持ちになった。



一人、微笑みかけてきた男性を認め、もう駄目だと観念したところ、いきなり隣から声がかかった。



「姫、一曲踊っていただけますか。」



アミリアは弾かれたかのように視線を下げた。



跪いた男が顔を上げる。





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