心はいつも、貴方とともに
今までの男性と違い、どこか質素な出で立ちだった。



驚いて沈黙したままでいると、彼はそっと顔を上げた。



穏やかな目で見つめられ、無意識に頷く。



アミリアが頷くや否や、彼はさっと立ち上がって歩き出した。



広間の真ん中へ行くかと思いきや、彼はずんずんと端の方へ歩いていく。



「どこへ行かれるのですか?」



アミリアは不安になって、尋ねずにはいられなかった。



すると彼は笑いを含んだ声で、言った。



「みんなの見世物になるのはもうたくさんでしょう?」



あんまりストレートな言い方に驚いたが、実際その通りだったので反論はしない。



導かれるままに、足を動かした。



どうやら彼は、屋外を目指しているらしい。



もうすっかり暗くなった庭園に入ると、彼はやっと足を止める。



幸い、人影はなかった。



足を止めると、彼はさっと組んでいた腕をほどいた。



「差し出がましいことをして、申し訳ありません。」



そう言いながら彼は距離をとる。



何故か、少し寂しかった。



「いえ…。」



アミリアは、彼の顔を食い入るように見つめた。



暗闇でよく見えない。




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