心はいつも、貴方とともに
「あ、ユリの花。」


「お好きですか?」


「はい。
よく、お兄様が贈ってくださって。
…あぁ、薔薇もある。」



微笑むと、ジークは気を利かせて近くまで寄ってくれた。



「きっと、お兄様が庭師に今日のためにこれを植えるように言ってくださったのね。」


「仲がよろしいんですね。」


「はい、可愛がってくださるんです。」



案を練っている兄の顔が浮かぶ。



きっと、アミリアを喜ばせようと、頭を捻ってくれたに違いない。



「ジーク様は、どんな花がお好きでしょう?」


「そうですね…。
あぁ、これなんか。」



そう言って、ジークが指したのは、花壇ではなく地べたに咲くタンポポだった。



「雑草ですけど、私は好きです。」



控え目に微笑んだジークを見て、アミリアはなんとなく思った。



ジークは貴族ではない、と。



こう言っては失礼にあたるのかもしれないが、どこか庶民的な雰囲気を持った人だった。



黙っていると、ジークは慌てて立ち上がった。



「すみません、姫。」


「いえ…。
私も、好きですよ、タンポポの花。」



そういうと、ジークはほっとした笑みを浮かべた。



「行きましょう。」



そう言って、差し出された腕に、アミリアはすんなりと身体を寄せた。













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