心はいつも、貴方とともに
どうやら知らないのは、アミリア姫も同じらしい。



自分たち以外の人間はもう何が起こるか知っているらしく、口ぐちに何かささやき合っている。



「よく見ておけ、俺達は姫の婚約の儀式に立ち会うことができるんだ。」



ラジャはわくわくしているが、何故かジークは喜ぶ気持ちになれなかった。



ただ、檀上のアミリア姫を見つめる。



彼女は狼狽え、ランバート王子に何か話しかけていた。



王子は小さく微笑み、彼女の後ろに立っている。



その目は何かを諭しているようにも見えた。



扉が開き、レッドカーペットの上を、煌びやかな衣装を纏ったセドリック王子が歩いてくる。



ジークはラジャに促され、彼に視線を移した。



あぁ、あれが姫の夫となる男か。



背も高く、凛々しい顔立ちをしている。



美女と評される彼女とお似合いだ。



そう心の中で思いながら、どこか苦しい。



ジークは頭を振って、姫に視線を戻した。



「アミリア姫。」



よく通る声で、王子は呼びかける。



姫は一歩、前へ出た。



状況を理解していないのは、今や彼女独りだ。



不安そうに胸の前で手を組んでいる。




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