心はいつも、貴方とともに
the princess
*
時遡ること、数年。
この王国の姫、アミリア姫は中庭でハープを奏でていた。
その表情は穏やかながら、内心は退屈で仕方がなかった。
別段、好きでもないのに弾いているのは、ひとえに国民のため。
音楽を趣味としている姫など、愛らしくていいじゃないか。と父王が言ってからというもの、アミリア姫には専属の音楽団がついた。
それだけでなく、姫たるもの、慎ましやかかつ器量よしでなければと、史学、詩学、芸術、舞踊、歌…父王は思いつく限りの教育をアミリア姫に施した。
おかげで次期国王である兄に劣るものと言えば、武術程度だ。
不満ではなかったが、もう少し自由な時間が欲しいとは思う。
アミリアとしては、書庫にこもって本を読んでいた方が気楽で良い。
「アミリア!」
どこからか声がした。
演奏をやめて、辺りを見回すと、向こうの回廊で兄のランバートが大きく手を振っていた。
後ろについているお目付け役は苦い顔だ。
アミリアは苦笑しながら、立ち上がって駆け出した。
「お兄様。」
咎めるように言うと、ランバートは悪びれる様子もなく舌を出した。
背後なので見えはしないが、これをお目付け役のダニエルが見たらと思うと冷や冷やだった。