心はいつも、貴方とともに
アミリアは、パタンとドアが閉まるのを見届け、座り込んだ。



どうして自分はあんなことをしてしまったのだろう。



お時間をください、と返事を引き延ばすこともできたのに。



そうはしなかった。



…どうして?



胸の奥に、燻るものがあったのだ。



はっきりとはわからない。



何か、苦しくて、でもあたたかい、よくわからないもの。



姫の暗黙の役目の一つに、外交を円滑にするため、政略結婚も含まれている。



むしろ義務だ。



それを覚悟していたはずだったのに…。



何故か、あの場で即答してしまうほど、嫁ぎたくはなかった。



その理由を訊かれても、答えられないのが不思議でならない。



幸い、兄は気を利かせて今日は問わずにいてくれたけれど、明日には父王に弁解しなくてはならない。



そう思うと、絶望的な気持ちになるのだった。



「姫…。」



そろそろ寝る時間だと、侍女が声をかけてきた。



アミリアははっとして、立ち上がる。



そして気丈に笑って就寝の挨拶をした。



今、考えていても埒があかない。



明日、すっきりとした頭で考えよう。



無理矢理に思考を止め、アミリアはベッドに滑り込んだ。














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