心はいつも、貴方とともに
それで彼女を愛しているというのだろうか。



今晩、彼女に群がる男たちを見て、思った。



彼らは、彼女の人柄など興味はないのだ。



王の娘という条件。



つつましやかだという条件。



芸術、勉学において秀でているという条件。



…美しい、という条件。



それしか見ていない。



休む間もないくらいにダンスを申し込まれ、困惑していた彼女を見て、どうしても助けたくなった。



自分の身分を考えずに行動を起こしてしまい、内心はヒヤヒヤだったが後悔はしていない。



あの、少しの間。



あの瞬間は、忘れない。



彼女の笑顔が今も目に焼き付いている。



「おい、ジーク。
気分でも悪いか?」


「あ?
いや。
ちょっと、考えてて。」


「そうか、ならよかった。
外で風にでも当たってきたらどうだ?」



ラジャの気遣いに甘えることにする。



奴は何気に聡い。



今晩、ジークの様子がおかしいことに気付いているのだろう。



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