心はいつも、貴方とともに
くれぐれも慎重に、と何度も何度も言い聞かせて送り出す。



マリアは心配顔で、付き添っていった。



あとは彼女に任せるしかない。



はぁ、とアミリアはため息をついて、座り込んだ。



一日、ここで過ごすのは毎度のことながら骨が折れる。



こんな暮らしを毎日続けている彼女には、本当に申し訳なかった。



この塔に一つだけある窓からは、城の庭が見える。



いつも、アミリアがいる場所だ。



アリソンは、いつもアミリアがそこにいるのを見ているのだ。



くよくよして一日を過ごすのはもったいないので、アミリアは持ってきた編み物をすることにした。



この部屋には、アミリアが作ったものがどっさりとある。



何度も暇つぶしにと教えたのだが、アリソンは細かい作業が嫌いらしく、すぐに投げ出すのだ。



結局、アミリアが編みあげることになる。



そういったものが、所狭しと飾られていた。



今、アリソンのベッドカバーになっているパッチワークは去年、作った。



クローゼットに仕舞ってあるだろうニットも、アミリアの手製だ。



今編んでいるのは、アリソン用の髪飾りだ。



内緒にしているので、プレゼントしたときの反応が楽しみだった。



が、なかなかはかどらない。



今、アリソンは何をしているのだろうと、心配で心配で仕方がなかった。



まるで母親ね、と笑ってから、母親の代わりをしてきたことを思いだし、また笑った。














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