心はいつも、貴方とともに
*
ジークは城の警備中に、誰かがはしゃぐ声を聞いた。
どうせ、城の子どもが遊んでいるのだろうと思っていたが、その声には聞き覚えがある。
不思議に思って立ち止り、耳を澄ますと、やっぱりアミリア姫の声に似ていた。
しかし、どこか違う。
昨晩聞いた声は、もっと落ち着きのある鈴のような声だったのだ。
しかし、今は…。
もっと元気な笑い声だ。
思い過ごしだろうと、歩き始めたジークだったが、笑い声が近づいてきたかと思うと、いきなり身体が前につんのめった。
膝をついて体重を支えると、背中に何かが乗っかってきた。
「あら、ごめんなさい。」
まったく反省していない謝罪とともに、何かが退く。
振り返ると、ジークは絶句した。
姫だ。
アミリア姫だ。
…しかしやっぱり、どこかが違う。
パンパンと服を払っている彼女は、容姿はアミリア姫とそっくりだがどこか違う気がした。
「お怪我は、ありませんか?」
「大丈夫よ、平気。」
そう言って立ち上がった歩き出そうとした彼女だったが、ふらりと足を折ってしまった。