心はいつも、貴方とともに
うわぁ、と悲鳴を上げたのはジークの方で、ジークは慌てて彼女の身体を抱きとめた。



大丈夫じゃないだろう、と呆れて彼女を見ると、驚いたことに彼女はぽーっとした顔でジークを見ていた。



「…どうかしましたか?」



声をかけても、反応はない。



…熱でもあるのか。



「貴方は?」


「しがない騎士です。」



何故か今の彼女に自分の名を教えるのは、気が引けた。



食い下がられる前に、ジークは尋ねた。



「貴方様は?」



すると彼女はむっとして、言い返してきた。



「騎士のくせに、見てわからないの!?
この城の姫よ!」



…酔っているのだろうか。



昨晩とまったく様子が違う。



うん、昨日のショックで飲み明かしていたに違いない。



ジークは勝手に結論づけ、彼女を抱えて歩き出した。



「どこへ行くの?」


「医師に見せましょう。
怪我がひどいと大変ですから。」


「そ、そうね。
…ありがとう。」



いえ、と言って、ジークはそっと姫を盗み見た。



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