心はいつも、貴方とともに
顔を赤らめている。



なんだか急に大人しくなってしまった。



ジークとしてはその方がありがたいのだが。



こうしてみると、昨日の姫と同じように見えないわけでもない。



俺の思い過ごしだったか、とジークは記憶を抹消した。



医務室へ連れて行くと、彼女は一度もジークを見ようとはしなかった。



昨日の男だと気が付いて、恥ずかしいんだな、きっと。



最後に彼女の微笑みが見れないのは残念だったが、ジークは頭を下げて引き下がった。



パタンとしまるドアの隙間から彼女の顔が見えなくなってから、ジークは一人首を捻った。



どうしてだろう。



昨日と同じような気持ちにはならない。



あの、不思議な、心の底が熱くなるような…。



昨日は酔っていたからか?



雰囲気にのまれていたせいかもしれない。



あぁ、きっとそうだったんだ。



だからあんなに感傷的になってしまったんだ。



ジークは一人で勝手に納得し、警備を続けるべく歩き出した。















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