心はいつも、貴方とともに
そして案の定、ランバートのもとへ歩み寄ってきたアミリアは、顔を顰めてこう言った。



「お兄様、王子らしい振る舞いをと何度も言われているのに。」


「悪いな。
でも、たまにはいいだろう?」


「私がお見かけするお兄様は、いつもこんな風ですが。」


「それは、俺がこういうことをするのはミアだけだから当たり前だろう。」



飄々と言ってのけるランバートに、アミリアは呆れ顔で笑った。



彼女のお付きもくすくすと笑っている。



ジークは、あの不思議な気持ちが胸に広がっていくのを感じた。



やっぱり、姫は姫だ。



この間の出来事はやっぱり何かの間違いだったに違いない。



アミリア姫は、こういう柔らかいお方なのだから。



兄との雑談に夢中で、アミリアはジークに気付かない。



最初に会釈はしてくれたが、ジークに気付いた様子は見せなかった。



…もう、忘れてしまわれたんだろうか。



ちくりと胸が痛んだ。



特別になれた気がしたのは、やはり相手が姫だったからであって、彼女の側からすればただの一人の男だったのかもしれない。



期待してしまった自分が馬鹿みたいだ。



ジークはすっと俯いた。



ちらりと視線だけあげると、2人は楽しそうに談笑していた。



…邪魔かな?



そろそろと後ろに下がる。



ジークはダニエルが控えているところまで、引き下がった。



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