心はいつも、貴方とともに
話に夢中な2人は気づかない。



「本当に仲がよろしいんですね。」



ジークが言うと、老人は頬を緩ませた。



「はい。
長年お仕えしていますが、お2人が喧嘩なさったところをみたのは本当に数えるくらいですよ。」



そうなのか。



確かに、アミリア姫に見せるランバート王子の顔は、いつもと違う。



どこか生き生きとして見えて、柔らかい。



国政を担っている次期国王として、未来を背負っているときの顔とは違う。



アミリア姫の前で屈託のない笑顔を見せる王子こそが、本当の姿なのかもしれないな。



だとすると、俺はその本当の姿を見ることが出来た貴重な人間だ。



ラジャが聞いたらうらやましがるに違いない。



アミリアと別れて戻ってきたランバートは、すっかり威厳のある王子の顔に戻っていた。



「待たせたな。」


「いえ。」


「せっかくアミリアにお前を紹介しようとしたのに、いつの間にいなくなってたんだ。」


「申し訳ありません、またお手数をかけるような真似をして…。」


「いや、いいんだ。
今度きちんと引き合わせよう。」



行こうか、と歩き出したランバートの背中に一度軽く頭を下げてから、ジークは歩き出した。













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