心はいつも、貴方とともに
ランバートに呼び出されて警護の命を受けてから数日後、ジークは再び呼び出された。
「悪いな、何度も。」
アミリアの待つ庭園へと向かいながら、ランバートは詫びた。
「いえ。」
動きが固いジークに気付いたランバートは、笑いながら肩を叩いた。
「そんなに緊張するな。
アミリアは人見知りはするが、父上のように気難しくはないぞ。」
「はい。」
「お前のことは、すぐに気に入るさ。」
「はい。」
「緊張しているか?」
「はい。」
「大丈夫か?」
「はい。」
「今日の天気は?」
「はい。」
駄目だこりゃ、とランバートは、肩をすくめた。
ジークは足と腕が同時に出てしまいそうなくらいに緊張している。
憧れの王子のお言葉も頭に入ってはこなかった。
「まったく、一度会ったことがあるんだし、ましてや会話だって交わしたことがあるんだから、アミリアのことが少しはわかっているだろうに。」
「しかし、あの時はアミリア姫も通常の精神状態ではなかったはずで、少し気を許しやすかったはず…。」
「まったく、お前は真面目なぶん、考えすぎていけない。」