心はいつも、貴方とともに
the knight
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この国の騎士団は、小さいながらも有名だった。
決して強いわけではない。
だが、英雄揃いだと、国民の憧れの的だった。
騎士団に憧れる男の子は多い。
そして、本気で志す者も。
その中の幾人かが実際に騎士団合格をしていた。
この国のいいところは貧富の差別がないところだと思う。
そのおかげで、孤児のジークも騎士団に入団することができたのだから。
育ててくれた恩人たちを守るため、今日もジークは訓練に明け暮れた。
貴族出身の者が多いこの団の中で、最初は孤立していたが、今ではすっかりなじんできた。
1年も経てば、そういうものか。
「ジーク、もう終わっとけってさ。」
ふと、背後から声がし、ジークは素振りをやめた。
「ラジャ。」
「お疲れ。」
そう言って、ラジャはタオルを投げてよこす。
危なげなくそれをキャッチしてから、ジークはラジャに近づいた。