心はいつも、貴方とともに
あわあわと慌てふためくアミリアを楽しそうに見、ランバートはにやにやと笑う。



「照れてるのか?」



耳元でこっそりと囁いたつもりだろうが、ジークにも丸聞こえだ。



頷いたアミリアは真っ赤だった。



「男性と2人きりになることなんて日常ではありませんもの。」



アミリアもささやいたつもりなのだろうが、これもしっかり聞こえる。



「この間のパーティーでは?
ジークと夜の庭を散歩したんだろう?」



王子、わざと彼女を動転させるようなことを仰らないでください…。



ジークはなんだかアミリアが可哀想になってきた。



悪意はないにしろ、悪戯が過ぎる。



しかし、そんな彼女を見ているのは内心楽しいので、ジークは黙って観察した。



自分よりも緊張している彼女をみていると、自分の緊張が収まるのも理由の一つにある。



予想通り、ランバートの言葉にアミリアは慌てて弁解した。



「あ、あの、それは!」



もごもごと何か言っているが、言葉にはなっていない。



ジークは思わず吹き出してしまった。



ぴたりと動きを止めた2人がジークを振り返る。



口元を覆った手をもとに戻し、ジークは気まずく思いながら顔を背ける。



ごほん、と空咳をしたランバートは、アミリアの頭をそっと撫でた。



「侍女以外と過ごすのも、楽しそうだぞ。
固いことは考えず、友達ができたと思ってみろ。
きっと毎日が楽しいぞ。」



そう言い聞かせる声は、さっきとは打って変わって優しい声だった。



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