心はいつも、貴方とともに
この前の晩のように、2人はもじもじと互いを見つめ合った。



どれだけそうしていたのか、さすがに気まずくなったジークはこの前と同じ台詞を口にした。



「散歩、しますか。」



一瞬、驚いたように目を見開いたアミリアは、照れながら頷いた。



「はい、ぜひ。」



あの晩とまったく同じ行動を繰り返す。



違うことといえば、腕を組んでいないことくらいだ。



微妙な距離を保ちながら、ゆっくりと歩く。



「…この間は大変でしたね。」



話題に困ったジークはそっと切り出す。



アミリアは申し訳なさそうに身体を縮めた。



「大変なことをしでかしてしまいました。
…国民にも、兄にも、迷惑をかけてしまって。」


「いえ、そんなことは…。
姫がこの国を去ってしまうほうが、悲しくて耐えられません。」


「そう言っていただけるなんて、光栄です。」



困ったように微笑む彼女をちらりと盗み見、ジークは不思議な気持ちの理由を見つけようと頭を捻った。



しかし、いくら考えてもわからない。



きゅうっと胸が締め付けられる感覚は、止むことがない。



「…ジーク様?」



アミリアの問うような声で我に返った。



「はい。」


「大丈夫ですか?」


「はい、少し考え事を…。」


「そうですか。」



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