心はいつも、貴方とともに
よく手入れが施された菜園が、姿を現したのだ。



色々な形の葉が植わった畝。



腰の高さくらいの木には、何かが生っている。



「これを、姫が…?」


「マリアにも手伝ってもらっていますが。
…お気に召しましたか?」


「はい、素晴らしいですね…。」



嘘ではない。



ジークは思わず勝手に『秘密基地』に足を踏み入れた。



そこには、ジークが知っている野菜や花がいくつかあった。



アミリアが以前、好きだと言っていたユリも植わっている。



…畝の外に自生しているタンポポもあった。



「綺麗な場所ですね。」


「そう言っていただけると、嬉しいわ。」



ふふっと彼女は笑った。



「ここのことは、秘密ですよ?」



秘密、とつぶやくと、彼女は大きく頷く。



「お兄様と、マリアと、ダニエルしか知らないの。
でも、これで秘密を知っているのは私を含めて5人になったわね。
…たくさん、仲間が増えてきたわ。」



独りごちるアミリア。



ジークは微笑んで指を折って数えている彼女を見守った。










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