心はいつも、貴方とともに
中では既に、先生が待っていた。



「こんにちは。」



柔和な笑顔を浮かべ、老人は会釈する。



「最近は御無沙汰でしたねぇ。」


「えぇ。
お元気でしたか?」



彼の笑顔に癒されながら、アミリアは向いに用意された椅子に腰かけた。



さっそく、ハープを取り出す。



「もう十分上達されているので、私にはお教えできることはもうないんですがねぇ。」


「いえ、そんな…。
まだまだです。」



先生が弾くように、滑らかな音は出ない。



本当に同じ楽器を爪弾いているのか怪しくなるくらいだ。



では、始めましょう。と、場が整った時だった。



いきなり窓が開き、びゅうっと隙間風が通り抜けた。



「おや、窓を開けた覚えはないのだがね。」



2人して首を捻った。



「閉めてきますね。」



立ち上がって、窓を閉めようと歩き出したアミリアの前に、突然なにかが立ちふさがった。



きょとんと見上げると、人。



黒装束をまとった、人。



手に刃物を持った、人。



さーっと血の気が引いていくのがわかった。



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