心はいつも、貴方とともに
「お初にお目にかかります、姫。」



ガラガラ声が、しんとした室内に響いた。



アミリアは身体が凍ったように動かない。



「我が国に嫁ぐ気はおありで?」



その言葉を聞いた途端、アミリアは瞬時に悟った。



この人は、お兄様の言っていた、兇手だ。



「ないなら殺せとのお達しでね。」



濁声で嗤ったかと思うと、彼はいきなり襲いかかってきた。



この段になって、やっと悲鳴が出た。



間一髪、身体を捻って逃げ出す。



「逃げて!」



必死で叫んで、後退する。



先生はわなわなと身体を震わせていた。



さっきは運よくかわせたが、今度はそうもいかないだろう。



相手は訓練された人間だ。



アミリアのような小娘は一捻りだろう。



何故か頭だけは冷静だった。



楽しむかのようにじりじりとアミリアを追い詰めていた男が、ゆっくりと首を傾げた。



視線はアミリアを通り越して、その後ろを見ている。



どうしたのか気にはなったが、振り返って確かめる余裕はなかった。




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