心はいつも、貴方とともに
が、その理由はすぐにわかった。



「それ以上、近づくな。」



声でわかる。



そっと後ろから腰に手を回された。



「ジーク様…。」



来てくれた…。



邪魔者がやってきたというのに、何故か目の前の男はにやりと笑っていた。



その間に、ジークはアミリアを自分の後ろへ引っ張り隠す。



掴まれた手から、ジークの緊張が伝わってきた。



「おもしろい。」



ふと、男は言った。



「おもしろい。」



今度はもう少し大きな声で繰り返す。



ジークは黙ったままだった。



「別に何も、今殺さなくても俺は構わないんだ。
…また会いに来るさ。」



言うが早いか、ジークが襲いかかる暇もなく、男は窓から飛び出ていってしまった。



しばらくジークは窓を睨んでいたが、もう戻って来ないとわかると、さっと振り返ってアミリアを掴んだ。



「お怪我は!?」



揺さぶらんばかりの勢いのジークに気圧され、アミリアは無言で何度も首を振った。



見た目にも、どこも怪我がないのを確認し、ジークはゆっくりと息を吐き出した。




< 71 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop