心はいつも、貴方とともに
「よかった…。」



ジークはへなへなと膝に手をついてしまった。



アミリアは驚くしかない。



「申し訳ありません。
私が気づくのが遅かったばかりに…。」



そんなことはないと思う。



閉ざされた扉の向こうのことに気が付いたのだから、ジークはよっぽど聡いはずだ。



「今度からは、一緒に中に入らせていただきます。」



ジークは自分に言い聞かせるようにきっぱりと言い、アミリアの手を引いた。



「お怪我はありませんか?」



腰を抜かしていた先生に声をかけ、無事を確認すると、ジークはさっさと部屋を出た。



「もう、部屋に戻りましょう。
今日は外に出ないほうがいい。」



アミリアはジークに手を引かれるまま、歩く。



何も考えることが出来なかった。



本当だったのね。



本当に、私は狙われているんだわ。



あの時、ジークが来てくれなかったら、自分はきっと…。



その先を考えると、頭が真っ白になった。



ジークが手を引いてくれていなかったら、アミリアはその場に崩れていただろう。













< 72 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop