心はいつも、貴方とともに
*
「はっ!?」
アミリアは柄にもなく動揺し、姫らしからぬ声を上げた。
たった今、兄の口から発せられた言葉が信じられない。
ゆっくりと首を傾げるアミリアに、ランバートは笑みを含んだ声でもう一度説明した。
「だから、来週からお前の部屋の隣にジークが住むことになった。」
「…それはもう決定事項なのですね。」
長年この人の妹をやってきたからわかる。
この人は、本気だ。
にこやかだが、もう覆す気がないのだろう。
アミリアは自分を落ち着かせるために息を深く吸った。
ジーク様が、私の部屋の隣に住む。
壁一枚を隔て、ジーク様が暮らされる。
マリアが使っていた部屋に、ジーク様が、入る。
何度も復唱するうちに、身体がかあっと熱くなった。
それはとんでもないことではないのか。
ランバートは、顔をおさえて部屋を歩き回るアミリアを楽しげに見つめる。
まったく、面白い奴だ。
自分が今どんな行動をとっているのかわかっていないんだろうな。
そんなアミリアが可愛くて仕方がないランバートだった。