心はいつも、貴方とともに
一しきり一人で困惑してから、アミリアは何事もなかったかのように平静を取り戻した。



「それで、ジーク様は了承されたのですか?」


「まぁ、王子命令だからな。」


「…そうでしたね。
お兄様のことですから、どうせ強制したんでしょうね。」



…アミリアよ、お前は悪気なく言っているんだろうがお兄様は結構胸が痛いぞ。



ひっそりと傷つきながら、ランバートは笑顔を保った。



「なんだか申し訳ないですね。
私が結婚を断ったばかりに。」


「いいんだよ。
何度も言わせるな。」


「はい…。」



アミリアはしゅん、と萎れる。



負い目に思うなと言う方が無理か。



ランバートは何度目になるかわからないため息をついた。



「お互い、気楽に過ごせ。
お前も、話し相手が出来て嬉しいだろう。」


「はい、その点は…。
しかし、ジーク様は行動が制限されてしまいました。」


「確かにな。
でも、奴も光栄に思っていると言っていたぞ。」


「王子の前ですもの、そう言わざるをえませんよ。」


「そうかもな。
でも、もしかしたら本心かもしれない。」



ランバートは最後ににっと笑って部屋を出ていった。



「姫様…。」



隣室からマリアが顔を出した。



「大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。
ごめんなさい、追いやるような真似をしてしまって。」


「いいえ、この方が姫様の安全を確保できますから。」



アミリアは老婆の微笑みに心が安らぐのを感じた。











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