心はいつも、貴方とともに
第三章
crush
あれ以来、一度も刺客は姿を現さなかった。
そして、季節は移り変わり、からっとした夏。
アミリアはまたアリソンのもとを訪れていた。
彼女は相変わらずで、つんけんした態度をとっていたかと思うと、いきなりアミリアにしなだれかかったりする。
そして今日は機嫌がいい日らしい。
うっとりとした表情で恋について延々と語った。
「お姉さま、私、あの方にお会いしたいわ。」
「あの、騎士の?」
「えぇ。
お元気なのかしら。」
この話は何度目かしら。
笑顔を保ちながら、アミリアは内心ため息をついた。
「あの方は私を覚えているのかしらね。」
「どうかしらねぇ。」
「覚えているわよ!
だって、私は姫よ!」
…もし覚えているとしてもそれはアミリアとして記憶に残っているのだろう。
アミリアとしては、忘れていることを願ってやまない。
ふと、窓の外に視線を移したアリソンがはしゃいだ声を上げた。
何事かとアミリアは目を見開く。
「あの方よ!
ほら、あそこ!」
アリソンは興奮して一方向を指さす。