心はいつも、貴方とともに
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少し稽古に出ている間に、アミリア姫を見失ってしまった。
お付きも一緒だと言うから、大事はないだろうが、万が一ということがある。
ジークは早足に城内を歩き回った。
探しているときに限って、見つからない。
先程、稽古中にはよくみかけたのに。
なかなか見つからないので、パニックになりかけたときだった。
どこからかアミリアの声が聞こえてきた。
楽しげな笑い声も。
ジークは猟犬のように耳をそばだて、声の方向をあたる。
どうやら方向は合っていたらしく、すぐにアミリアに鉢合わせた。
息を切らさんばかりのジークをみて、アミリアは目を見開いた。
ジークはほうっと息をつく。
「どうかなさいましたか?」
遠慮がちにアミリアは声をかける。
ジークはへろへろとした声で、なんとか答えた。
「いえ、なんでもありません。」
よかった、なんともなさそうだ。
「…もしかして、ご心配をおかけしましたか?」
「え、あの、いや…。」
「そうなのですね。
申し訳ございません。」
深々と頭を下げられてしまった。