心はいつも、貴方とともに
ジークは慌てて手を振る。



「いや、私が見失ったのが悪いんです。」


「いえ、護衛していただいているのに勝手気ままに散策しているのが悪いのです。
ご迷惑をおかけしました。」



きちんとした謝罪に、ジークはあたふた。



助けを求めて熟練の付き人を見る。



マリアは優しげな微笑みを寄越し、アミリアに向き直った。



「姫、ジーク様と散歩でもなさってはいかがですか?」


「あ…。」



困ったように、アミリアはジークを見る。



ジークとしてはありがたい話なので、ぎこちなく微笑む。



アミリアは安心したように笑み、頷いた。



内心ガッツポーズだ。



では、と下がっていったマリアはジークの心を見透かしたような目をしていた。



どきりとする。



遠慮がちに、アミリアはジークの隣に並ぶ。



「久し振りですね、こうして歩くのは。」


「そうですね。
このところ、天気も悪かったですし。」


「今日は気持ちいいですね。
…ちょっと暑いですけど。」



アミリアはくすくすと笑う。



「そうですね、もう少し涼しくなるといいですね。」



まったくだ。



鎧が蒸れて仕方ない。





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