心はいつも、貴方とともに
城内を歩きながら、他愛のない話をした。



天気の話、友人の話、身の回りの話。



ジークは決して話し上手ではないが、アミリアは微笑んで話を聞いてくれた。



そして、ジークもアミリアの話を聞く。



彼女に惹かれているせいもあるのかもしれないが、彼女の話にはなにか聞き手を引き込む力がある気がする。



たとえば、花の話一つをするにしても、本当に嬉しそうに話すので、聞いているほうも興味が出てくるのだ。



そこが惹かれるポイントの一つなのかもしれなかった。



こうして散歩をするのは、本当に幸せだった。



護衛という名目で一緒にいられる。



それを利用しているようで心が痛くもあった。



彼女は自分をどう思っているのだろう。



ジークはそっと隣を歩くアミリアを盗み見た。



自分の肩にも満たない身長の彼女。



国民が心酔するのも当然だと思えるほど可憐で、ジークの胸は盛大にときめいた。



「そろそろ、部屋に戻りますか?
水分も摂らないと。」


「そうですね。
お付き合いいただいて、ありがとうございました。」



アミリアは丁寧に頭を下げる。



もう一緒にいるようになって長いのに、彼女は毎回丁寧に礼を言う。



一線を引かれているように感じて、いつも心苦しい。




< 82 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop