心はいつも、貴方とともに



ーーーーー……。



話を聞き終えたラジャは一言、「ふむ。」だけ言って押し黙った。



落ち着きなく視線を走らせて自分を落ち着かせながら、ジークは返事を待った。



「ジーク…。」



ラジャは久々に聞くような重々しい声で、手を組んだ。



ジークは緊張して身を強張らせ、身を乗り出す。



何を言われるのか、不安だった。



もしかしたら、アミリアの護衛を辞退しろと言われるかも。



アドバイスを求めた以上、ラジャも生半可な慰めの言葉などかけはしないだろう。



しかし、次の瞬間、ラジャはけろりと言った。



「うん、それでいいよ。」



ジークの拍子抜けようといったら、半端ではなかった。



まさに、肩透かしを食らったような。



ハトに豆鉄砲?



そんな言葉もあった。



「……ラジャ?」


「仕方いだろ、いくら有能だからといって、お前は人間で男だ。
女を好いて、何が悪い?
相手が姫だからと好いているわけじゃないだろ?」



ジークはぶんぶんと首を振る。



ラジャは満足げに笑った。



「そらみろ。
むしろ、それは献身的に仕える糧にもなりうる。
れっつぽじてぃぶしんきんぐ!」



最後までふざけた調子でありながら、ラジャの目は真剣だった。




< 84 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop