心はいつも、貴方とともに
「長期にわたり、お傍を離れてしまって申し訳ありません。」


「そんな、お仕事ですから…。」


「今の自分の任務は、姫を護衛することです。」


「でも、訓練は欠かせないでしょう?
私は今、こうして来て頂けて本当にうれしいんですよ。」



お願いですから、顔を上げてください。と頼むと、やっとジークは顔を上げる。



申し訳なさげに、目は伏せたままだ。



どうしたものか。



この人は責任感が強すぎていけない。



気疲れが激しかろうと、アミリアはいつも気をもんでいた。



「散歩、付き合っていただけますか。」



そっとと声をかけると、ジークはやんわりとほほ笑んだ。



「はい。」



あぁ、やっと笑ってくれた。



アミリアはほっとして、立ち上がった。



さり気なく、ジークはその手をとる。



アミリアも自然に手を預けた。



「…農村では飢饉が起こっていると聞きました。
本当ですか?」



おずおずと尋ねると、ジークは険しい顔になった。



「はい、残念ながら、死者も出てしまったとか。」


「そうですか…。」



今のところ、アミリアは思う存分食事ができている。




< 92 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop