心はいつも、貴方とともに
それは、アミリアが姫だからであって、決して食物が足りているわけではないのだ。



日がな一日、城でただ時間を過ごしている自分が、身体を使って働いている農民の食物を取り上げているのだと思うと、申し訳なかった。



アミリアが考えていることを読み取ったように、ジークは言った。



「姫がお心を痛めるようなことではありませんよ。」



優しい声が、アミリアの心を軽くする。



しかし、現実を見れば、心苦しくないわけがなかった。



「何とか、雨がふれば…。」


「それは、神にしかできないことですからね。」


「私たちは、祈ることしかできませんものね…。」



こういうとき、自分は無力だと思い知る。



自分は、神の子ではないのだ。



妹の死をうまく利用しただけの、偽物。



本物の神の子であれば、どれだけいいだろう。



役に立てれば、どんなにいいことだろう。



「…今日は、もう部屋に戻りましょう。」


「え?
でも、まだ少ししか歩いて…。」


「お疲れのようにお見受けしますが。」



優しいが、有無を言わせぬ口調だった。



見抜かれている。



アミリアは苦笑して、頷いた。



「はい。」



ジークはにっこりと笑って、アミリアの腰に手を添えた。



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