そのタグを外すのは誰だ!?
「どうやら、手紙でだったみたい」

「行動が早い……早すぎる」呟くように私が言うと、いつの間にかそばに来ていたゆっこがぽつりと言った。

「さすが、正攻法のあゆみ」

 正攻法のあゆみ。いつからそんなあだ名がついていたのか知らないが、それはかなり的を得たあだ名だった。彼女はいつだって直球勝負を好み、変な小細工はしない。いつだって正々堂々としている。

「もたもたしてたら、私のお古になっちゃうよ~」
 頭の上であゆみの声がした。がばっと顔を上げると、したり顔のあゆみがそこにいた。

「明日は千尋君、私と回るから」

 あゆみはフフンと鼻を膨らませ席につくと、にまにましながら携帯をいじりだした。

「くっそー」あゆこが悔しがるのを見て、私は焦り出した。

 どうしよう、よりによってあゆみに先を越されるとは。これは多分みんなが思っていることだろうけど、一番興味なさそうな顔をしてたあゆみに取られるのだけは一番避けたいところだ。

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