そのタグを外すのは誰だ!?
「よし、任せろ」
 いきなりみさが言い、立ち上がった。スタスタと教卓で遊んでいる千尋君たち男子グループの輪に近寄り、何か一言二言喋ってからそのまま、その輪になじんでしまった。

「みさ、何してんだろ」
 あゆこが不思議そうに見てる。でも、私にはなんとなく彼女が何か策を巡らせているのが分かった。きっとゆっこも分かったのだろう、彼女は安心してみさに全てを一任しているかのように腕を組んでいる。そして、あゆみは不安そうにみさとその周りの男子を見つめていた。

 それから十分後にみさは戻ってきた。私の机に来る前に、彼女は一度あゆみの机に行き、何やら慰めの声をかけてからあゆみの肩をぽんっと叩いた。

「明日さ、千尋君含めほか男子二名とうちらで文化祭回ろう」

「それを言いに行ったの?」ゆっこが聞く。

「うん、千尋くんだけ誘ったんじゃあゆみとの約束を優先すると思って。うちらグループとあっちグループなら、あゆみもいることだし、断らないと思ったんだよ」
「おぉ、なるほど」

 あゆこが感心すると、またゆっこが口を開いてみさを称賛した。「さすが、小細工のみさ」
「それって褒め言葉じゃなくね?」みさが不平を口にすると、あゆみが口を膨らませてみさを睨んだ。
「みさぁ、余計なことを」

「まぁまぁ、これで明日はみんなフェアに勝負できるじゃん?」

 みさは手であゆみを宥めて、私の方を意味ありげに見た。
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