そのタグを外すのは誰だ!?
 私だって、好きで手をこまねいているわけじゃないもん。みんなの迫力に押されてるだけだもん。思えば、私から頑張って男を落とそうと思ったことはない。コンパに行けば普通にもてはやされたし、彼氏だって本命以外にも三人は抱えている。しかも全員が私にベタ惚れだっていう自覚もある。

「よし、では行って来い」

 ダンボールなどで覆われて黒い教室の前につくと、みさが腰に手を当ててみんなを見た。

「へ? みさは行かないの?」

 私が聞くとみさは、だって女と男の数合わないじゃんと言った。

「私も怖いところはちょっと……」

 ゆっこがてへへと怖気つくと、あゆこは俄然張り切って千尋くんを引っ張りながら、入口にいるスタッフに扮した男子生徒の前に進み出た。
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