そのタグを外すのは誰だ!?
 何か今日はいつもに増して処女って言葉を聞いた気がする。

「あ、処女じゃん」
 よもや図書館に来てまでその言葉を聞くとは……。
 私はその声の主を睨みつけるように見上げると、そこにいたのは今年からクラスが一緒になった千尋くんがニヤニヤと笑いながら私を見下ろしていた。

「今夜はユニコーンに乗馬?」
 からかうように私の顔を覗き込んで彼は笑った。
「全然嬉しくないし、つか本当みんな声でかすぎ。私の処女情報駄々漏れじゃんか」
 私は肩をガクっと落として窓際の席についた。
「ははっ」と一声だけ笑うと、千尋くんは窓を開けて、埃の匂いのする図書室に風を通した。

 停滞していた空気が風に揺らされて、心地よく肌をかすめた。
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