そのタグを外すのは誰だ!?
 ゆ、油断も隙もあったもんじゃない。まさか、お化け屋敷の中でことに及ぶだなんて信じられない。

 改めてあゆこの大胆さを認識した。

「それより、ハイ! 喉乾いたでしょ? これオレンジジュースだけど、どうぞ?」

 ゆっこがいつの間にか、千尋くんの目の前で両手でコップを握りしめて満面の笑みを向けていた。

「あ、ありがとう」

 彼もまたつられて彼女に微笑んでそれを受け取った。 

「気遣いのゆっこって呼んでくださぃ」

 ぽっと頬を染めらせ上目使いに千尋くんを見るゆっこを見て、私はここにも伏兵が潜んでいたかと唖然とした。
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