そのタグを外すのは誰だ!?
 迷路って左手を壁につけてけばいいんだっけ?
 そんなことを思いながら、とぼとぼと歩いていると一人だけこの迷路に取り残されてしまったかのような錯覚に陥って妙に不安になった。

「あれ?」

 ダンボールの角を曲がると鉢合わせにゆっこが目の前に現れた。

「もう五分経った?」
「うん。なおはまだこんな入口にいたの?」

 たははと頭を掻きながらまた左手に壁をつけて歩いた。ふと見るとゆっこも同じことをしていた。

 これは、結局みんな同じコースをたどることになるんじゃないだろうかと思い、私は少し安心した。

「げ。なんか目の前暗いんだけど」

 ダンボールの壁を紆余曲折した後、しばらく直進に進むとゆっこが前方を指さした。見ると確かにそこだけトンネル状になっていた。さらに足元をわざと不安定にさせるためか、ぼこぼことした柔らかいものが敷いてあるのが見えた。

「でも、たぶんこっちが出口だよね」
 私は言いながら先を歩くと、ゆっこはブツブツと何か文句を言いながら後をついてきた。しかし、彼女は二歩目の足を踏み出すところで、派手にずっこけた。
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