そのタグを外すのは誰だ!?
「いたーい」

 足元は毛布のようなもので覆われていたので、実際は大して痛くないはずだが、彼女は座り込んで天を仰いで弱音を吐いた。

「大丈夫? ほら、立って。制服が汚れちゃうよ」
 言いながら手を貸してやると、ぽろりと彼女の胸ポケットから目薬が落ちた。

「はい、落ちたよ」
 目薬を拾ってゆっこに渡そうとして、気付いた。これは目薬じゃない。裏の白いラベルを見ると媚薬と記されている。

「うぉぃ! ゆっこぉぉ!」

 目を剥いてそれを凝視すると、ゆっこはバツが悪そうに下を向いた。

「ちっ、見られたか」
「盛ったんか!? 盛ったんだな! はっ、さてはあのオレンジジュース!?」

 ゆっこは白状したが、彼女は何も悪びれていない。

「ピピー! ドーピングです! 反則ですー!!」
「いいじゃん。未遂だったんだからさー。それに多分まだ彼の中の薬は効いてるはずだから、いま迫ればだれでも落とせるんじゃなーい?」

 こ……これは本当にのんびり構えてる場合じゃない!
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