Q.これはセクハラですか?A.いいえ、愛情表現です【BL】
食前と何も変わらず、会話はポツリポツリとしたものだ。
それでもやっぱり始終嬉しそうに過ごして、日が暮れると、あっさりと益田は帰ろうとした。
「なんですか?」
もっとごねそうとか思っていたから、
予想外の展開に俺はどんな顔をしていたのか、
何も言っていないのにそう尋ねられた。
「いや、……あっさり帰るんだなと思って」
するりと口から出た言葉に、帰ってきたのはこうだった。
「安心してください。
俺、わりと紳士ですから」
わりとってなんだ。
紳士ってなんだ。何の事だ。
何かされる前提なのか?
「そうか。じゃ、さっさと帰れ」
なんとなく嫌な予感がしたから、シッシと追い払うしぐさで見送った。
「ははっ、先生素直じゃないなー」
理解不能な言葉を残し、益田は笑顔で帰って行った。
……一回招き入れると抵抗感か何かが薄れでもするのだろうか。
それから何度も彼を家へ招く事になる。
特に何をするでもない時間は、ゆっくりなようでいて意外と早く過ぎる。
不本意な事にそれは、俺にとって居心地のいいものでもあった。