Q.これはセクハラですか?A.いいえ、愛情表現です【BL】


「先生、大好き!マジ愛してます!」


どうしようもなく、たまらなくて、思わず力いっぱい抱きしめた。



「ははっ、お前喜びすぎだろ!」


そうしたら先生は俺の背中をバシバシ叩きながら笑った。

これもある意味、抱きしめられてると言ってもいいんじゃないかな。
そう思うと余計にテンションは上がってくる。


「だって、本当、マジでどうしようもない位大好きなんですよー!」

抱きしめたまま、半ば叫ぶように伝える。
うるさい、と怒られるだろうか。


先生の顔を窺い見ると、予想もしていなかった表情を浮かべていた。


「ありがとう」



穏やかな微笑で、ありがとうと。



いまだ鮮やかに染まったままの頬は、夕焼けにも存在感を奪われていない。

今まで見ないふりをしていた、
この人は酔うとこうなる体質なのか、薄らと涙の膜が張った瞳。


それらが合わさると、俺の心臓は高鳴る鼓動をどうにも押さえきれない。


目の前の光景を、どれだけ理性的に客観的に見ようとしても無理だ。
なのに先生は、その状態の俺をさらに煽るばかり。

なんでそんなに、嬉しそうにするんですか。



例えばいつものツンがすべてアルコールで消え去り、デレだけの状態になっているとしようか。


いつもの、言葉が素直じゃない先生は良い。とても良い。好きだ。

でも今の、思った事そのままの先生も良い。可愛い。好きだ。

だけどやっぱり、ちょっとばかり困る。
俺の理性が負けそうだからだ。


そう、つまり。



「せんせ、据え膳はいただくって言ったじゃないですか」


俺は先生に欲情していた。
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