Q.これはセクハラですか?A.いいえ、愛情表現です【BL】
今は放課後。
この問題のある調査票を出した益田を呼び出していた所だ。
「先生、遅くなってごめん。待ちました?」
待ち合わせをしていたようなセリフを無視して、早速本題を持ち出す。
「さてこの、お前の出した進路についての話なんだが」
俺以外に見られたらヤバいだろ。
ふざけてると取られるならまあいいけれど。
彼の書いた進路は、第一希望に『先生の旦那さん』とあった。
さらに第二希望以下は『先生と婚約』『先生と同棲』だった。
なんかもう、怒りを通り越してため息しか湧いてこない。
「……ふざけるなよ?」
「ふざけてなんかいません!」
キリッと上がった眉で俺に向き合う。
「真面目です!本気で結婚したいと思ってます!」
そのままの勢いでプロポーズまでされてしまった。
けれどそんな事言われたって、俺と彼で結婚など出来るはずもない。
「……法律変えれる位偉くなったら考えてやるよ」
そう言って鼻で笑ってやったのに、
彼のテンションは落ちる事無く、逆に上がっているようにすら思える。
「じゃあ議員なります!頑張る!」
「……おー、頑張れ」
何はともあれ、やる気が出たのはいい事だ。
この際動機は置いておけ。
気合いを入れているのか、両手を握って彼はまた叫ぶ。
「目指せ総理!」
……何か難易度上がってるし。
「ま、頑張れよ」
彼の夢が叶うのか、叶わないのか。
とりあえず俺は、それを見守ろうと思う。
ひたすらに前を向く姿を見るのは、思ったよりも楽しいから。
……なんて、俺はいつの間にか彼に毒されたのだろうか。
そんな事を思った理由は、きっと誰に相談しても答えは出ない。
そんな事をしなくても、多分その内見つかるだろうし。