夏の名前
第1章 君と出会ったこと
夏が始まる少し前の事だった。
父の転勤の都合でやって来た
小さな田舎町。
都会から離れてもやっぱり暑さは変わらなくて
小さなため息をひとつついて
学校への道を歩いていた。
山の上にある学校まで坂道が続く。
額に浮かぶ汗を拭いて「こりゃ毎日大変だな」なんて思いながらも
男女共学という新しい環境へのドキドキが止まらなかった。